僕はきっと旅に出る

大阪で東洋史を研究している女子大生のブログ

『シュガー・ラッシュ:オンライン』は共依存メンヘラが観るべき映画だ(微ネタバレ注意)

(C)Disney. All Rights Reserved

あけましておめでとうございます。公開からしばらく経ってしまってますが新年早々シュガー・ラッシュ:オンライン」を観に行ってきました。

シュガー・ラッシュ:オンライン」とは


人間たちが知らないゲームの裏側の世界を舞台に、アーケードゲームのキャラクターである悪役ラルフと少女ヴァネロペの冒険と友情を描いたディズニーアニメ「シュガー・ラッシュ」の続編。好奇心旺盛なレーサーでプリンセスのヴァネロペと、心優しい悪役キャラクターのラルフは大親友。ある日、ヴァネロペが暮らすアーケードゲームシュガー・ラッシュ」が故障し、廃棄処分の危機に陥ってしまう。シュガー・ラッシュを救うべくゲームの世界から飛び出した2人は、刺激的だけど恐ろしい危険も潜むインターネットの世界に足を踏み入れるが……。

映画.com」より引用 

上記の通り、2012年に公開された「シュガー・ラッシュ」の続編だけど、正直いきなり本作観ても楽しめると思う。冒頭でしっかりキャラ描写をして導入してくれてる。やっぱりさすがディズニー、丁寧に映画を作ってる。

メタネタもネット風刺も面白いけど、テーマが甘くない

本作の売り文句として「ディズニープリンセスオールスター」であったり、「ネット社会風刺」であったり、「メタネタ」であったり、そういうものがメインだと思う。実際PVもそんな感じ。

もちろんそれらは面白かった。プリンセスのメタネタなんて、「ここまで言っちゃうかディズニー!!!」って感じで劇場内でもクスクス笑い声ちらほら聞こえてきたしね。

でも、観た後にズーンと心にくるものがあった。
ディズニーだけど、全然子ども向けじゃない。これは、「依存」「自立」「支配欲」とかに悩む、メンヘラが観るべき映画なのだ。
シュガーラッシュなのに全然甘くない。タイトル詐欺だ。 

「依存」したいラルフと「自立」したいヴァネロペ

前作観なくても楽しめるって言ったけど、まあ観たほうがそりゃあ面白い。

30年間ゲームの中で悪役を続けてる「ラルフ」(はだけてる服着てる裸足の男の人ね)は、前作で女の子の「ヴァネロペ」を助けて、それで彼女にヒーローとして認められる。
彼はヴァネロペからもらった「私のヒーロー」って書いてあるクッキーをすごく大切にしていて、いつも首にかけている。

前作は、今まで「悪役」でしかなかったラルフが、誰かに「ヒーロー」として「承認」されて、居場所を見つける物語であったのである。

だけど、そう甘くないよ〜〜!ってのを今作は見せつけてくる。

本作でヴァネロペとラルフは、とある出来事からネットの世界への冒険に出る。そこでヴァネロペは、今までの世界では見つからなかった「やりたいこと」を見つける。

だけど、ラルフは、今までの生活を続けたいのだ。ヴァネロペがいて、ヴァネロペが友人でヴァネロペに承認されて、ヴァネロペに依存して、幸せな生活を望んでいる。

ヴァネロペは、自立して、自分の夢を追いたい。
ラルフは、依存して、幸せな生活を続けたい。

そう、依存メンヘラ気質の男とそれに悩む女の構図にそっくりなのである。 

自立して相手の幸せを願うことも「愛」なのか

私もめちゃくちゃ依存気質があるので、正直ラルフに共感しすぎてめちゃくちゃしんどかった。ラルフが自分を客観視して自己嫌悪に陥るシーンを観たことによって、私自身を客観視して自己嫌悪に陥ってかなり落ち込んだ。

前作で「誰かに認められることの幸せ」を描いといて、次作で「その関係性に依存しすぎてもダメだよ」って現実見せてきた。最近ディズニー映画の潮流が変わりつつあるけど、この作品もその流れの一環にあるのかな、って感じ。 

そんな感じで、依存気質のあるメンヘラに現実を見せつけてくる「シュガー・ラッシュ:オンライン」、かなーりオススメである。

ポップな映像でダークな現実を描いてくる、全然シュガーじゃない映画だ。

それでは。